あれから20年

20年前の今日のこと。

当時はマンハッタンやクイーンズからわざわざうちの教会に来る人達も珍しくなく、礼拝が終った後も適当につるんで、車で15~20分程運転してブロンクスにある市鉄の終点まで2、3人連れて行くことが多かった。調子のいい時には、そのままマンハッタンまで送りに行くこともあった。

2001年9月9日の日曜日も例外ではなかった。どうして夕方まで教会周辺にいたのかは覚えてないが、2人車に乗せてマンハッタンに入る頃にはもう暗くなっていた。

1人をマンハッタンで降ろした後、帰る途中もう1人をブロンクスで降ろすつもりだった。

自分はニュージャージーにある会社で働いていたが、マンハッタンのお客さんのとこに行って会社に戻ることも多かった。そのせいか、マンハッタンから高速道路でそのままブロンクスに北上すればいいのに、いつもの癖で間違ってジョージ・ワシントン橋でハドソン川を越えてニュージャージーに出てしまった。

橋を過ぎて、フォートリーで高速道路から降り、即引き返すために反対方面の入り口で再び橋に向かった。

一緒に乗ってた人に、時間を無駄にさせたってことで謝ったが、彼女はブロンクスとマンハッタンの間を地下鉄で行き来する生活だったので、普段は外側からマンハッタンを見ることはなく、夜景なんて滅多に見れないと喜んでいた。

自分も車を運転しながら、なぜかしら見つめてしまった。

「見慣れとる景色なんじゃが、なんでか知らん、今夜は普段より、やけにきれいに見えるのぉ…。」

世界貿易センターのツインタワーを向こうの方に眺めながら思わずつぶやいた自分。

その景色を見るのが、それで最後になるとは、考えてもいなかった。

翌晩、料理をするのが面倒だったので夫婦で外食することに。共働きだし、まだこどもがいなかったうちらにとっては珍しくないことだった。

だが、アパートの坂を車で下りてる途中、まるで鬱にでも突然襲われたかのように、気持ちが急に凄く重くなった。「なんでか知らんが、超嫌な気分がする…。」と嫁さんに訴えてみたが、あまり深刻に捉えてくれてなかったようだ。もちろん翌朝どんなことが起きるかなんて全く知る余地なんてない。

今でもクイーンズやニュージャージーを運転しながら遠くからマンハッタンを見る度に、昔とは違う光景だと感じることがある。

うちの嫁さんの養父はアメリカ人なもんで、彼女側の親戚の多くはアメリカ人なんだが、空軍に入ってる甥が先日メッセンジャーで言ってきた。

「最近入隊した連中には、9.11以降に生まれたのもいてさ、嫌になるよ。」

自分の記憶はあまり薄れてないような気がするが、それ以上に時間は経っている。

失われた魂のため、そして今尚苦しんでる方々の癒しを祈りつつ。

Jesus loves y’all…

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