何度も書いてきたが、現在うちの教会は、礼拝出席者数が10人超えることは滅多にない。牧師もいないんで、教会員が持ち回りでメッセージをしたり、聖書箇所を選んで証をして、それを基に分かち合いをしたりで、なんとか2年以上続けてきている。そういう活動をしているんで、各自の信仰の成長を感じるし、人数が少ないというのもあるが、1人でも欠けたら教会自体が揺らぐかもしれないと思わせるくらい、全教会員の大切さを実感する。

自分の音楽の相方もその1人。

彼女は長い間、アーティストビザでこの国に滞在していた。一度取れば比較的簡単だとはいえ、毎年更新しなければならないという、結構面倒なもの。あくまで当時の話であって、今は他のビザ同様、更新さえも難しいと聞く。

ある日、どうせニューヨークに住み続けたいなら、いつまでもビザを更新するより、思い切って永住権を取れる方法を探してみるように提案してみた。

とはいえ、人前で歌うという目立つことより、教えることを中心に活動している彼女は、すぐにスポンサーなんて見つけられない。イチかバチかで、特殊技能者がスポンサーなしで永住権を申請できるというEB1というのでやってみることにした。

当初は弁護士に頼んだが、色々あって、無謀にも自分が法律事務所の協力は全く抜きで最初からやり直すことに。

スポンサーがないということは、それまでの証明できる功績が十分にあり、特に音楽関係で影響力のある多くの人達からの推薦状も必要。もちろん彼女自身の人脈もなかなかのもんだったが、ある時自分は、とんでもないことを思いついた。

アメリカの有名なクリスチャン達に、ダメ元で推薦状をお願いするということだ。

『知り合いの知り合い』だという、有名教会のミュージシャン達。

音楽だけではなく、教会や非営利団体などに深く関わり、「もしかして協力してくれるかも」と思わせるような活動をしていたゴスペル歌手達。

会ったこともないくせに、多くの人達に手紙を出した。

また、世界的に有名なメガチャーチの牧師が、著書のサイン会のために近場の本屋に来た際、手紙を持って直談判しに行ったこともあった。「わかった。そこのスタッフに渡しといて。」って、あっけなくスルーされたけど、想定内かな。ちなみに、それまでその牧師の大ファンだったうちの嫁さん、その日に生で見て、「笑顔が嘘くさく感じたんで、急に冷めた。」とか言って、以来彼の教会のテレビ中継も見ることがなくなった。(笑)

色んなとこに連絡してみたけど、結局返事はなかった。

だが1人だけ、メールを出した翌日に連絡してきてくれた人がいた。

ゴスペルを、教会音楽だけではなく、本格的にポピュラーミュージックとしても確立したことから、『現代ゴスペルの父』と呼ばれるアンドレ・クラウチ牧師だ。ゴスペル以外のミュージシャンが、曲の中にゴスペルの雰囲気を出したい時は、「まず彼に依頼してみよう」と言うくらい音楽界では重鎮で、マイケル・ジャクソンの『Man in the Mirror』やマドンナの『Like a Prayer』にもクワイヤを提供している。それもクラウチ師は、うちの相方にわざわざ電話をかけ、直接話してくれた。

結果、返事をくれなかった他の誰より最も影響力のある人物だけが、うちらの依頼に協力してくれたってことだ。

だが、色んな事情が重なり、永住権の申請準備がしばらく止まっていたことがあった。

そんな2015年1月、クラウチ師が天に召された。

故人からの推薦状がいつまで効力を持つのか判断がつかなかったんで、多少の焦りもあり、大急ぎで申請準備を再開。それでも時間はかかった。

2017年6月、うちの教会に3年間いた牧師先生が帰国し、同時に20年以上使ってた教会堂も追い出され、所属していた教団からも離脱。誰もが、「あの教会、大丈夫か?」って思ったことだろう。永住権だけではなく、拠点としている教会の存続という面でも、うちらは渦中にあった。

だが、その約3週間後、永住権の申請が承認されたという通知が届いた。そんなタイミングだったんで、その瞬間、「うちの教会、当面は大丈夫かな。」という確信も与えられた。

クラウチ師とは、彼女が唯一電話で、それも一回だけ話しただけで、うちの教会では誰も実際には会ったことさえない。

だが、彼の推薦状が移民局の判断に対する大きな影響力をもたらしたんじゃないかと自分は思ってる。もしそうだとしたら、うちの教会にとっても大きな恩人だ。

クラウチ師が他界する1年前、自分のお客さんの1人が天に召された。彼の部屋に行くと、よくこの曲が流れてたのを思い出す。

「God has spoken. Let the church say Amen.」

直訳すると、「神が語られた。教会に『アーメン』と言わせよう。」となるが、どちらかというと「神の御言葉に、教会のみんなで『そのとおりです!』とお応えしよう。」といった感じか。

うちらも、少ないからこそ、神の御声に敏感になり、それに対してちゃんと反応できる教会であればと思う。

推薦状の中には、こう書いてあった。

「他の歌手達が私の作品の良さを引き出してくれることはあまりないと感じることがある。だが、彼女の場合、その歌の中にある解釈と音楽性に感銘を受けた。」

協力してくださったクラウチ師に、そして師を動かしてくださった主に感謝しつつ。

Jesus loves y’all.

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何度も書いてきたが、現在うちの教会は、礼拝出席者数が10人超えることは滅多にない。牧師もいないんで、教会員が持ち回りでメッセージをしたり、聖書箇所を選んで証をして、それを基に分かち合いをしたりで、なんとか2年以上続けてきている。そういう活動をしているんで、各自の信仰の成長を感じるし、人数が少ないというのもあるが、1人でも欠けたら教会自体が揺らぐかもしれないと思わせるくらい、全教会員の大切さを実感する。

自分の音楽の相方もその1人。

彼女は長い間、アーティストビザでこの国に滞在していた。一度取れば比較的簡単だとはいえ、毎年更新しなければならないという、結構面倒なもの。あくまで当時の話であって、今は他のビザ同様、更新さえも難しいと聞く。

ある日、どうせニューヨークに住み続けたいなら、いつまでもビザを更新するより、思い切って永住権を取れる方法を探してみるように提案してみた。

とはいえ、人前で歌うという目立つことより、教えることを中心に活動している彼女は、すぐにスポンサーなんて見つけられない。イチかバチかで、特殊技能者がスポンサーなしで永住権を申請できるというEB1というのでやってみることにした。

当初は弁護士に頼んだが、色々あって、無謀にも自分が法律事務所の協力は全く抜きで最初からやり直すことに。

スポンサーがないということは、それまでの証明できる功績が十分にあり、特に音楽関係で影響力のある多くの人達からの推薦状も必要。もちろん彼女自身の人脈もなかなかのもんだったが、ある時自分は、とんでもないことを思いついた。

アメリカの有名なクリスチャン達に、ダメ元で推薦状をお願いするということだ。

『知り合いの知り合い』だという、有名教会のミュージシャン達。

音楽だけではなく、教会や非営利団体などに深く関わり、「もしかして協力してくれるかも」と思わせるような活動をしていたゴスペル歌手達。

会ったこともないくせに、多くの人達に手紙を出した。

また、世界的に有名なメガチャーチの牧師が、著書のサイン会のために近場の本屋に来た際、手紙を持って直談判しに行ったこともあった。「わかった。そこのスタッフに渡しといて。」って、あっけなくスルーされたけど、想定内かな。ちなみに、それまでその牧師の大ファンだったうちの嫁さん、その日に生で見て、「笑顔が嘘くさく感じたんで、急に冷めた。」とか言って、以来彼の教会のテレビ中継も見ることがなくなった。(笑)

色んなとこに連絡してみたけど、結局返事はなかった。

だが1人だけ、メールを出した翌日に連絡してきてくれた人がいた。

ゴスペルを、教会音楽だけではなく、本格的にポピュラーミュージックとしても確立したことから、『現代ゴスペルの父』と呼ばれるアンドレ・クラウチ牧師だ。ゴスペル以外のミュージシャンが、曲の中にゴスペルの雰囲気を出したい時は、「まず彼に依頼してみよう」と言うくらい音楽界では重鎮で、マイケル・ジャクソンの『Man in the Mirror』やマドンナの『Like a Prayer』にもクワイヤを提供している。それもクラウチ師は、うちの相方にわざわざ電話をかけ、直接話してくれた。

結果、返事をくれなかった他の誰より最も影響力のある人物だけが、うちらの依頼に協力してくれたってことだ。

だが、色んな事情が重なり、永住権の申請準備がしばらく止まっていたことがあった。

そんな2015年1月、クラウチ師が天に召された。

故人からの推薦状がいつまで効力を持つのか判断がつかなかったんで、多少の焦りもあり、大急ぎで申請準備を再開。それでも時間はかかった。

2017年6月、うちの教会に3年間いた牧師先生が帰国し、同時に20年以上使ってた教会堂も追い出され、所属していた教団からも離脱。誰もが、「あの教会、大丈夫か?」って思ったことだろう。永住権だけではなく、拠点としている教会の存続という面でも、うちらは渦中にあった。

だが、その約3週間後、永住権の申請が承認されたという通知が届いた。そういうタイミングだったんで、その瞬間、「うちの教会、当面は大丈夫かな。」という確信も与えられた。

クラウチ師とは、彼女が唯一電話で、それも一回だけ話しただけで、うちの教会では誰も実際には会ったことさえない。

だが、彼の推薦状が移民局の判断に対する大きな影響力をもたらしたんじゃないかと自分は思ってる。もしそうだとしたら、うちの教会にとっても大きな恩人だ。

クラウチ師が他界する1年前、自分のお客さんの1人が天に召された。彼の部屋に行くと、よくこの曲が流れてたのを思い出す。

「God has spoken. Let the church say Amen.」

直訳すると、「神が語られた。教会に『アーメン』と言わせよう。」となるが、どちらかというと「神の御言葉に、教会のみんなで『そのとおりです!』とお応えしよう。」といった感じか。

うちらも、少ないからこそ、神の御声に敏感になり、それに対してちゃんと反応できる教会であればと思う。

推薦状の中には、こう書いてあった。

「他の歌手達が私の作品の良さを引き出してくれることはあまりないと感じることがある。だが、彼女の場合、その歌の中にある解釈と音楽性に感銘を受けた。」

協力してくださったクラウチ師に、そして師を動かしてくださった主に感謝しつつ。

Jesus loves y’all.