うちの故郷のスーパーの屋上のアイドルショーを除くと、自分が初めて行ったコンサートは、高三の春休み、ロサンゼルスで聴いたジャズのサックス奏者、故スタン・ゲッツ。そして初のロックコンサートは大学に入った年の秋、ダラスの何万人も入るフットボール場で、前から8列目で観たローリング・ストーンズ。
以来これまで、本当に色んなコンサートに行ってきた。チャック・ベリーやレイ・チャールスといったパイオニア達、ロックだけではなく、フォークやジャズ、カントリーの巨匠、そして数々のゴスペル・アーティストと、ライブで聴きたかったのは殆ど制覇しかけていた。
が、あと二人、どうしても一度でええからコンサートに行ってみたいのがいた。
一人はマドンナ。別にファンじゃないんだけど、ライブは絶対楽しいんじゃないかと思った。
そして、もう一人はポール・マッカートニー。ビートルズ解散後の彼の曲はあまり詳しくないけど、それでも好きなのが幾つかある。もちろんビートルズ時代の曲ならば思い入れの強い曲も多い。
夕べついに、ヤンキースタジアムでポールのライブを観ることができた。せがれは嫁さんの友人に預けてった。
ステージの構造がなんか下手なのか意図的なのか、真正面から見てないとバックの映像が見えず、ちょっとでも横だとやたら見えない部分が多い。事実、うちらが座ってたセクションからだと、ポールがピアノに座ったら全く見えず、ステージの脇の大スクリーンで見るしかなかった。とはいえ、どっちにしろ双眼鏡が無いと明確に見えないほどの距離なんで、そんなに苦ではなかった。
全体の半分がビートルズ時代の曲だったが、もちろんウィングスの曲やソロのもしっかりやってくれた。
そして、本来ジョン・レノンやジョージ・ハリソンが歌ってた曲も演奏。ジョージの『Something』をポールが歌ってる時には、さすがに少し涙が出た。
グランドピアノで、『Live and Let Die』や『Let it be』などの名曲が続いた後、真ん中にド派手なアップライトピアノが用意され、『Hey Jude』で一旦引っ込んだ。実は、ニューヨークで、それもヤンキースタジアムってことで、途中特別ゲストを一人期待してたが、この時点であきらめてしまった。
アンコールは全てビートルズの曲だった(何か忘れとるかもしらんが)。ステージ中央のアップライトピアノを引き続き使って『Lady Madonna』。
そして、ポールが「ニューヨーク出身の友人を紹介しよう。」ってんで、自分は心の中で「きたぁ~!!!」って叫んだ。ビートルズの最初のアルバムの一曲目『I saw her standing there』。当初は、コンサートの中盤あたりになるんじゃないかと予想してたが、まさかここで来るとは。期待どおり、ビリー・ジョエルが登場、ピアノでポールとデュエット。一曲だけだったが、アンコールの一部だったし、それはそれでよかろう。
そして、『Get Back』で再度ステージを去る。
二回目のアンコールはポール一人でアコースティックギターを持ち『Yesterday』。その後、打って変ってハードな『Helter Skelter』。最後はアビーロード・メドレーでシメ。
ある程度流れが予想できたが、かえってそれが良かったんだろうし、それでも所々「こう来たか…。」とか思わされたり「あ、この曲があったじゃねぇか。」ってのもあって、全体的に凄く楽しめた。年齢からして当然老けてるわけだが、とても69歳とは思えないパワーだった。今回が最初で最後かもしらんが行けてよかった。
亡くなった母も連れてきてやりたかったって思った。せがれもいつか連れてきたいって思ったが、あいつをコンサートに連れてこれる頃には、もう既にポールもコンサートなんてやってられないだろ。そんなことを考えてると、自分の人生の中で心に残るコンサートになったような気がする。
Jesus loves y’all.