Facebookの個人プロフィール写真などで承知の人も多いと思うが、自分は今、フィンガー5にハマっている。自分の記憶に残っている中で、テレビで歌ってるのを観た最初の人達だ。姉が買ってもらってたLP『学園天国』も我が家にあった。改めて聴くと凄いグループだったんだと思うが、後の世代なのに専門ブログを開設してる人や、YouTubeなどでのコメントを読むと現在高校生なのにフィンガー5のファンになっている人達も結構いるみたいで、自分が幼い頃に観ながら育ったグループの音楽が、今の若い世代にも喜ばれてるのを知ると、素直に嬉しい。音楽ってのは、その大半が時代を反映しているわけで、その時代があってこそ生まれた音楽だと思うので、「音楽は時代とは関係ない」などとは決して言わないが、時代を超えても愛される音楽が存在するのも事実だ。
今年の6月、せがれがディズニーの新作『Luca』を観たいとのことなので、同社による動画配信サービス『Disney+』に加入した。だが、我が家はどうせ普段から映画はあまり観ないので、当初の計画通り1ヶ月で解約。
そのついでに、プロレス関係を含め、加入はしてるもののあまり利用していないサービスも解約することにした。その中の1つがスポーツケーブル局ESPNによる『ESPN+』。ここ数年、プロレス以外にもボクシングやキックボクシングを観ることも増えたので加入していたが、他サービス『DAZN』などと比べると、そんなに観たい試合が無かったので、毎月払うよりも、どうしても観たい試合の時にその月だけ加入することにした。
その後、何だったか忘れたが、ボクシングの試合で観たいのがあったのでESPN+に再加入しようとしたら、EPSN同様ディズニーが運営するDisney+とhuluの3サービスに同時加入すると(期間限定ではなく)割引になるという広告が表示されていたので、映画なんて普段は観ない自分だが、家族での時間を増やすきっかけにもなるかもしれないし、思い切って3つまとめて加入することにした。とはいえ、自分がDisney+で何か観るってことは当分ないだろうと思っていた。
この国では毎年11月第4木曜は感謝祭。今年は11月25日だったが、感謝祭とは別に話題となっていたのが、そのDisney+での『The Beatles: Get Back』の初公開だ。元々劇場版として上映される予定だったが、COVID-19の影響で延期になり、結局劇場公開は中止となり、配信サービスでの公開となった。
今年もまた感謝祭はメリーランド州の親戚宅に行ってたので、当日観ることはできなかったが、戻った翌日から早速観始め、夕べやっと観終えた。3部に分かれていて、それぞれ2時間以上。計7時間48分。夕飯の準備をしている時とか、せがれが寝てからとか、機会を探しながら観続けた。
長時間ではあったが退屈はしなかった。むしろ、感動して涙が出てくることさえ何度もあったくらいだ。
1966年にツアーを止めたビートルズだったが、1969年にコンサートを計画し、そのテレビ放送と新アルバムの制作を兼ねたリハーサルを録画したもの。結局コンサートもテレビ放送も中止になったが、その分、21日間におよぶこのセッションからの60時間の映像と150時間以上の音源が貴重だとされてきた(当然、海賊版では結構出回ってはいたが…)。正に、1970年公開の映画『Let It Be』と全く同じセッションからの動画だ。そしてこの度、その膨大な量の映像が、『The Lord of the Rings』で知られる映画監督ピーター・ジャクソンの指揮の下、約8時間のドキュメンタリーにまとめられた。
あくまで個人的な意見だが、『Let It Be』を観たことがある人なら、『Get Back』の有難味を更に感じることができるような気がする。いくら同じセッションからの映像とはいえ、1970年に劇場公開された81分の映画と、21世紀にデジタルリマスターされた468分のドキュメンタリーを比較するのも無理があるのかもしれないが、『Let It Be』にしか含まれていない映像も幾つかあるし、もし両方観ることができたら、それぞれの良さも見えてくるのではないだろうか。
ただし、『Let It Be』はもう販売されておらず、英語版ならこのサイトなどで観ることができるが、日本語字幕版は中古でも入手困難とのこと。いずれにせよ、もし可能であれば、(ある程度記憶に残ってない限り)まず『Let It Be』を観てから『Get Back』を観るのをお薦めする。合計9時間以上になってしまうが…。
『Let It Be』は、画質はさておき、ストーリーのまとめ方などから全体的に陰気さが目立っていて、まるで意図的に解散への道が表現された作品のように思えてくる(実際そうだったのかもしれないし)。一方『Get Back』は長時間な分、メンバー同士が持っている不満や数週間におよぶリハーサル中の緩慢さが更に浮彫になっているが、『Let It Be』ではあまり見えなかったメンバー同士の親密さ、そして当然のことだが4人とも本当に音楽が大好きだというのもまた更に映し出されている。特に、この頃のビートルズがどういう方向に向かっていたのか知らない人達が観たら、間もなく解散するということが信じられないくらいの希望のようなものさえ感じるのではないかと思う。
『Let It Be』同様、『Get Back』でも、アップル社屋上でのゲリラ演奏が最高潮だと感じているのは自分だけではないはず。それを観て思ったのは、やはりビートルズはかっこいいってことだ。
自分はビートルズが正式に解散した年に生まれた。音楽好きな人間としては、これまで1960年代を体感することができなかったことに嫉妬心さえ持つこともあったが、今回観終わって、改めて実感したことがある。
ビートルズだけに限らないが、確かにそのミュージシャンが活躍していた時代に生き、その時代だからこそ生まれた音楽を同時に楽しめるというのは羨ましいことかもしれない。
だが、その時代の真っ只中に生きて当時の出来事や風潮に自分自身が左右されることなく、残るべくして遺された作品を、そのまま感じ取れるというのも、これまた感謝するべきことだと思う。
Jesus loves y’all.